ステライメージを購入したので、ボタ赤のスカイメモTと合わせて、新星景写真の作り方を備忘録しておきます。
品質のコンセプトは
「200%でもノイズレス!究極の1枚」とかではなく、
「やっぱコンポジットはいいねえ。4Kディスプレイ全画面表示でもキレイだわ~」となるぐらい、ということで、ステライメージ、Photoshopを使用した
【赤道儀追尾星空16枚と固定地上撮影16枚合成キレイだわ~プラン】
です。タイムラプスを流用して、Sequatorを使用した
【赤道儀なしタイムラプスファイルを流用してほどほどにノイズレスプラン】
はこちらをどうぞ。
① 素材
- 16枚の地上用写真(赤道儀追尾なし)
→ 加算平均合成で1枚の地上写真を生成 - 1枚の境界用写真(赤道儀追尾なし)
→ 1枚の境界用写真を生成 - 16枚の星空用写真(赤道儀追尾あり)
→ 加算平均合成で1枚の星空用写真、比較明合成で1枚の境界用写真を生成
※境界用写真は比較明合成の写真を使用しますが、地上の方が明るい場合は比較明合成の写真が使えないので、1枚撮りの境界用写真を準備しておきます。
② 撮影
④ Photoshopによる地上と星空の合成
- ポータブル赤道儀をセッティングし、動作確認をします。動作確認が終わったら、いったん追尾は停止しておきます。
- 地上の露出を試し撮りしながら決定します。基本的には星空より地上の方が暗いので、露出は星空よりも高くすることが多いです。露出不足でシャドウを持ち上げるとノイジーになるので、地上が求める明るさになるまで十分に露出します。
・F値は、ISO感度やシャッタースピードに余裕があるので、1段か2段絞ります。私はF2.8で撮ることが多いです。
・シャッタースピードは、星が流れても良いので、多少長めに撮っても良いですが、長すぎるとホットピクセルが心配なので、長くても30秒までにしています。
・16枚撮ると、理屈では4段分ほどノイズが減ります。ISO6400なら400相当、12800でも800相当になるので、ISOがこの辺りになるようF値やシャッタースピードを設定することが多いです。 - 16枚の地上用写真(赤道儀追尾なし)を撮影します。
・カメラのF値、シャッタースピード、ISO感度を2で設定した値にします。
・カメラのタイムラプスモードをオンにし、撮影枚数16枚、インターバルを3秒にして実行します。カメラにタイムラプス撮影モードがない場合は、リモコンを使用して同様のセッティングで16枚撮影します。 - ダーク減算をする場合は、3が終わったら同じセッティングのままでレンズキャップをしてファインダーを塞ぎ、ダークフレームを4枚程度撮影しておきます。シャッタースピードがあまり長くないので、ダーク減算の効果は限定的かもしれませんが、特に夏はしておいた方が良いでしょう。
- 星空の露出を試し撮りしながら決定します。空の部分のヒストグラムが中央付近まで来るようにするなど、基本的に1枚撮りと同じです。
・F値は、ISO感度やシャッタースピードに余裕があるので、1段か2段絞ります。私はF2.8で撮ることが多いです。
・シャッタースピードは、赤道儀を回すので多少長めに撮っても良いですが、長すぎるとホットピクセルと赤道儀の制御が心配なので、長くても30秒までにしています。
・16枚撮ると、理屈では4段分ほどノイズが減ります。ISO6400なら400相当、12800でも800相当になるので、ISOがこの辺りになるようF値やSSを設定することが多いです。 - 1枚の境界用写真(赤道儀追尾なし)を撮影します。
・カメラのF値、シャッタースピード、ISO感度を5で設定した値にします。
・ポータブル赤道儀の追尾はまだ停止のまま、1枚だけ撮影します。 - 16枚の星空用写真(赤道儀追尾あり)を撮影します。
・6.の撮影が終わったら、すぐにポータブル赤道儀の追尾を開始します。
・カメラのタイムラプスモードをオンにし、撮影枚数16枚、インターバルを3秒にして実行します。カメラにタイムラプス撮影モードがない場合は、リモコンを使用して同様のセッティングで16枚撮影します。 - ダーク減算をする場合は、3が終わったら同じセッティングのままでレンズキャップをしてファインダーを塞ぎ、ダークフレームを4枚程度撮影しておきます。シャッタースピードがあまり長くないので、ダーク減算の効果は限定的かもしれませんが、特に夏はしておいた方が良いでしょう。
- 地上用写真を加算平均合成
・ステライメージを起動し、自動処理モードを表示し、「ライト」の欄に16枚の地上用写真のRAWファイルをドロップします。
・ダークフレームを撮影していれば、「ダーク」の欄に撮影したダークフレームのRAWファイルをドロップします。
・処理:コンポジット、方式:加算平均、その他の欄はすべてチェックを外し、「実行」をクリックします。
・処理が終われば結果が表示されるので、問題なければアイコンからTIFF形式で保存します。
・次の過程に備えて、ライトフレームとダークフレームの欄を削除しておきます。 - 境界用写真を現像
・「ライト」の欄に1枚の境界用写真のRAWファイルをドロップします。
・ダークフレームを撮影していれば、「ダーク」の欄に撮影したダークフレームのRAWファイルをドロップします。
・処理:コンポジット、方式:加算平均、その他の欄はすべてチェックを外し、「実行」をクリックします。
・処理が終われば結果が表示されるので、問題なければアイコンからTIFF形式で保存します。
・次の過程に備えて、ライトフレームとダークフレームの欄を削除しておきます。 - 星空用写真を加算平均合成
・「ライト」の欄に16枚の星空用写真のRAWファイルをドロップします。
・ダークフレームを撮影していれば、「ダーク」の欄に撮影したダークフレームのRAWファイルをドロップします。
・処理:コンポジット、方式:加算平均(特定のフレームに飛行機や赤色LEDなどの余計な光が入っている場合は「加算平均(αクリッピング)」にする)、「自動位置合わせ」と「回転を計算」にチェック、その他の欄はすべてチェックを外し、「実行」をクリックします。
・処理が終われば結果が表示されるので、問題なければアイコンからTIFF形式で保存します。たまに、画像が反転して合成される場合がありますが、その場合は「回転を計算」のチェックを外すと正常になる場合が多いです。
・次の過程も同じファイルを使用します。 - 星空用写真を比較明合成
・使用するファイルは前工程と同じです。
・処理:比較明コンポジット、「自動位置合わせ」と「回転を計算」にチェック、その他の欄はすべてチェックを外し、「実行」をクリックします。
・処理が終われば結果が表示されるので、問題なければアイコンからTIFF形式で保存します。
- 画像の読み込み
Photoshopを起動し、前工程までで作成した加算平均合成の地上用写真、1枚の境界用写真、加算平均合成の星空写真、比較明合成の星空写真の4枚を読み込みます。 - レイヤー間の位置合わせ
・境界用レイヤーと加算平均レイヤーのみ表示して、星の位置を合わせます。片方のレイヤーの描画モードを「差の絶対値」することで、重なっていれば黒になるので、星空ができるだけ真っ黒になるようにレイヤーを微調整します。
・境界用レイヤーと加算平均レイヤーの星の位置合わせができたら、加算平均レイヤーと比較明レイヤーも同様に合わせます。
この時、加算平均レイヤーを動かしてしまうと、せっかく合わせた境界用レイヤーとの位置がズレてしまうので、比較明レイヤーを動かして合わせることに注意。
境界用、加算平均、比較明の星の位置合わせが終わったら、すべてのレイヤーのレイヤーの描画モードを「通常」に戻します。 - 地上の作成
・地上用レイヤーだけを表示し、「オブジェクト選択ツール」を選択、「選択とマスク」をクリックします。
・右窓の「透明部分」欄を20%ぐらいに設定し、地上部分を選択すると、AIがオブジェクトだと判断した部分が切り抜かれます。必要に応じて、クイック選択ツールやなげなわツールも合わせて使用し、地上部分を切り抜きます。作業完了したら右下の「OK」をクリックします。 - 星空上空の作成
・加算平均レイヤーだけを表示し、「オブジェクト選択ツール」を選択、「選択とマスク」をクリックします。
・右窓の「透明部分」欄を20%ぐらいに設定し、星空部分を選択すると、AIがオブジェクトだと判断した部分が切り抜かれます。必要に応じて、クイック選択ツールやなげなわツールも合わせて使用し、星空部分を切り抜きます。
先ほどと異なり、地上との境界は残さず、星空が多少切り抜かれても良いので、地上は確実に残らないようにします。作業完了したら右下の「OK」をクリックします。 - 境界の作成
・ここまでの作業で地上と星空ができましたが、表示してみると、4.で星空を小さめに切り抜いているので境界部分がありません。そこで、境界用レイヤーまたは比較明レイヤーのどちらかを表示し、自然な方を確認します。
今回のように地上の方が星空より明るい場合は、比較明で星空部分に地上部分が写っているので、境界用レイヤーを採用します。もっと暗いロケーションの場合は、比較明の方がS/Nが良いので、不自然でなければ比較明を優先した方が良いでしょう。
境界用レイヤーを採用する場合は、1枚絵なので上空とノイズ感を揃えるため、必要に応じて、Camera RAWフィルターで強めのノイズリダクションをかけておいた方が自然に見えます。
また、比較明、境界用共通で、加算平均レイヤーとは微妙に明るさが異なると思います。ノイズ感や多少の色はともかく、輝度が違うと、この後の強調処理で境界が見えてしまいます。調整レイヤーの明るさ・コントラストで一時的に明るくし、輝度を合わせます。2つのレイヤー色や明るさを揃える、色調補正の「色の置き換え」でやると良いでしょう。地上と星空を表示したところ、境界部分がありませんね…
比較明:地上が写って不自然 → 不採用境界用:比較明より自然だが、境界部分だけ妙にノイズが多いし、ちょっと明るいCamera RAWフィルターでノイズリダクションをかけ、明るさを調整して合成
自然さが増し、境界がより分かりにくくなった
これで合成処理は完了です。あとは、1枚撮りと同様に好みのレタッチをかけて出来上がりです。ノイズが少なく、レタッチも強めにかけても破綻しにくいため、好きに仕上げてみましょう。
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